中国の壮絶な婚活事情

中国の婚活事情はなかなか壮絶です。まず中国の場合、日本とは比較にならないほど女性の社会進出が進んでいます。歴史的には男尊女卑が徹底していた中国ですが、現在の中華人民共和国になったときに男女平等を掲げました。

その結果、あらゆるところで女性が活躍するようになったのです。
今では女性の閣僚、社長、パイロット、軍人など珍しくありません。つまり、経済的に自立した女性が多いということになります。ちなみに、家事も“男女平等”になっており、家事ができない男性はおかしいという価値観になっています。

こんな状況なので、結婚について言えば女性の方がアドバンテージを持っていると言えます。

そもそも家と車を持っていない男性は、始めから選択肢には入りません。その上で、学歴や年収で“査定”されていくわけですから、男性の精神的、経済的負担は相当なものです。
実際、無理してローンを組んで車や家を買う男性がかなり多く、返済ができなくなってしまった「房奴」(ファンヌー、ローン奴隷)と呼ばれる人の増加が社会問題になっています。

かと言って、女性が有利かといえばそうでもありません。

中国では、男性より年齢が低くなければ結婚相手として見てもらえないという文化があります。そのため婚期が短く、男性より選択肢が少ないのです。以上のような状況ですから、婚活への関心は日本の倍以上。ただ日本と異なり、結婚紹介業(結婚相談所、結婚・恋愛サイトなど)を通して結婚相手を探す人は少なく、親戚・友人が段取りしたお見合いや合コンを活用する人が多いです。

また、一人っ子政策で子供に甘い社会のため、親が子供の婚活を仕切ることも普通に行われています。

中国人女性は、「向上心がある男性が好き」とハッキリ言います。向上心を前面に出すことがない日本人男性にとっては、かなり手強い相手といえます。仮に中国人女性を好きになったときは、それなりの覚悟が必要となります。

中国の婚活を題材にした映画「非誠勿擾」

押さえておくべき映画『非誠勿擾(狙った恋の落とし方。)』2008年に『非誠勿擾』(フェイチェンウーラオ、放題:狙った恋の落とし方。)という映画が公開され、大ヒットしました。
タイトルは「誠実なおつき合いができる方のみ」という意味で、婚活をテーマにした映画です。

中国人の婚活は壮絶なので、題材にすれば面白い話が作れます。この映画もコメディ要素が強い映画でした。監督の馮小剛(フォン・シャオガン)はヒットメーカー。主演の葛優(グォ・ヨウ)、舒淇(スー・チー)も中華圏を代表する俳優・女優です。

さて、この映画をなぜ押さえておくべきかというと、ロケ地が北海道東部(釧路、阿寒湖、網走、厚岸、斜里、美幌)だからです。映画の中で映し出された美しい雪原、静寂な山々は、中国人の心をわし掴みにしました。そして、北海道観光が大ブームとなり、大勢の中国人観光客が北海道に押し寄せたのです。しかも、普段なら観光客が訪れないような寂しい場所でさえも、ロケ地ということで多くの人が訪れました。これで息を吹き返した旅館や商店はかなりの数に上ります。

この映画がもたらした効果に、自治体、旅行関係者は目を見張りました。通常の2~3年分の売上を短期間で上げるほど、中国人観光客の消費欲が想像以上だったからです。また、必ずしも有名な観光地でなくても、映画・ドラマのロケ地ということで多くの人が訪れることも新しい発見でした。

『非誠勿擾』は、中国人観光客を呼び込むための研究テキストのようになり、多くの関係者たちから注目されました。そして、実際に中国のテレビ局とタイアップして番組やドラマを作る自治体も出てきたのです。新しい試みが次々に行われ、効果が期待されていた時期に東日本大震災や尖閣問題が起こり、雲散霧消してしまいましたが、2020年の東京オリンピックに向けて新しい動きも出てくるかもしれません。

そのとき、役に立つと思うので『非誠勿擾』はぜひチェックしてみてください。ラブコメディとして普通に楽しめます。

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