中国は嫌われもの?ネガティブなニュースが1人歩きする現実

日本のメディアが報道する中国のニュースは、尖閣諸島問題、PM2.5などの環境問題、食肉期限切れ問題などネガティブなものばかり。それ以外の側面がほとんど報道されないので、わからない人が大多数だと思いますが、実はすでに多くの中国企業が日本に進出しているのです。

しかも、それらの企業が作ったり販売している製品は、かなり日本人の生活に浸透しています。

例えば家電メーカーの「ハイアール」は有名ですね。かつて白物家電は日本メーカーの独壇場でしたが、今では海外メーカーの技術力も上がり、低価格競争では勝負にならない状況になっています。
「海爾集団」(ハイアール)は、元々は旧態依然とした国営企業でしたが、80年代末に張瑞敏氏(現会長)の経営改革によって生まれ変わり、その後日本はもとより世界を席巻するまでになりました。

次に見るのはパソコンメーカーの「レノボ」です。今では多くの人が「Lenovo」ブランドのパソコンを使っていると思いますが、これは「聯想集団」という名の中国の企業です。90年代後半から中国トップシェアのパソコンメーカーに成長。2004年にはIBMからパソコン部門を買収し、一躍世界のパソコンメーカーに踊り出ました。
この時期に日本法人のレノボ・ジャパン株式会社が設立され、さらに2011年にはNECのパソコン事業まで統合しました。従来のパソコンメーカーにとって、すでにパソコン事業はドル箱ではなく不採算部門に陥っており、その受け皿として中国メーカーが最適だったという背景です。

経営不振に陥った日本企業が中国企業に買収された例も多数

例えば、家電量販店の「ラオックス」。知らない人が聞いたら、「あのラオックスが中国企業だと」と不思議に思う人もいるかもしれません。ラオックスは、かつては日本を代表する老舗の家電量販店でしたが、バブル崩壊後に多店舗展開の失敗でつまずき、長く経営不振が続いていました。それを中国の大手家電量販店チェーン「蘇寧電器」が2009年に買収したのです。
現在、秋葉原のラオックスには、大勢の中国人観光客が訪れていますが、それもそのはず。今や中国企業なので、どんな企業よりも中国人観光客を熟知しているのです。

老舗アパレル「レナウン」も今や中国企業です。日本を代表するブランドだったので、とくに年輩の人には信じられないかもしれません。同社もバブル崩壊後は経営不振に陥り、2010年に山東如意科技集団によって子会社化されました。

スマートフォンメーカーも、快進撃を続けています。中でも伸びているのが「ファーウェイ・テクノロジー」(華為技術)。スマホの違いといえば、ドコモ、au、ソフトバンクといった通信会社の違いや、iPhone、AndroidといったOSの違いしか気にしていないと思いますが、端末メーカーはそれぞれ違います。一度、使っているスマホの裏側を見てみてください。「HUAWEI」とあったら、ファーウェイ・テクノロジー製のスマホです。つまり、中国メーカーの製品なのです。今やドコモ、au、ソフトバンク、emobileに供給しているため、日本のスマホの多くが中国製という状況になっています。

以上見てきたのは、ほんの一部。さらに多くの中国企業が日本に進出し、事業展開しているのです。こうした側面が報道されず、ネガティブなニュースだけが一人歩きしているのは残念です。

「中国がキライ。中国製品なんか使わない」という極端な人でも、実は多くの中国製品を使っており、それなくしては立ち行かなくなりつつあるのが現実なのです。

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