日本以上の学歴社会と複雑化した中国の大学事情

中国は、日本以上に学歴社会

14億という巨大な人口の中で勝ち抜くためにも、学歴が高ければチャンスが多くなる。だから大学を目指す。そんなストーリーが、一応の縮図でした。

しかし、最近は社会構造が複雑化しており、こんなにわかりやすい話ではなくなっています。

中国の文部科学省に相当するのが、中国教育部

これに認可された大学・短大は約1860校あります。そのうち国家重点大学と呼ばれるのが112校あり、いわゆるエリート大学です。さらにその中で、最上位に位置するのが北京大学と清華大学。この2校は、世界大学ランキングに入るほどの超名門です。

これに加えて、浙江大学、ハルビン工業大学、復旦大学、上海交通大学、南京大学、中国科学技術大学、西安交通大学の計9校は中国版「アイビーリーグ」と呼ばれ、連携してハイレベル人材の育成を図っています。
これらの大学に入学できれば中国社会の上層部に行くチャンスが広がりますが、あまりに狭き門で一般人からすると非現実的です。ここだけ見ていても、中国全体の大学事情は、見えてこないでしょう。

中国の教育は、日本と同様に暗記中心。

考えるよりも覚える。さすがは、古代において膨大な量の暗記試験「科挙」を作った国です。ですから、無味乾燥な教育と言えます。実際、大学入学を諦めてしまう学生も少なくありません。

高校生は、文系・理系が分かれた上で「全国統一試験(通称:高考)」を受験します。

名目上は、全中国の統一試験なのですが、実際は各直轄市・省・自治区という行政区分に従って、別々に実施しています。そして、省によって合格者が優遇されたりしています。つまり、北京在住者が北京大学に入りやすいといったことが行われているのです。このことへの不満は、中国内にいつも蔓延しています。大学進学で人生が左右されるので、もっともな不満です。

大学を取り巻く不満はまだあります。

かつては10%未満だった大学進学率は、現在35%前後まで上昇している。

これは中国政府が国民の教育水準を上げようとやっきになった結果です。

大学に行くチャンスが拡大して一見するとハッピーですが、事はそう単純ではありません。大学卒業生にとって、満足いくような就職先が十分に確保されていないのです。名門大学の卒業生は、日本と同様に大企業や外資系企業への就職志向が強いのですが、就職できる学生は限られています。

そのため就職浪人したり、海外に留学する大学卒業生はたくさんいます。
ある意味、大学神話が崩れているわけですが、かといって大学に入らずに成功するのは至難の業。

大学入試、就職などに失敗して、自殺する学生も増加しています。

かつての中国だったら少なかった現象ですが、経済成長することによってそうした事件が増えるのは日本と同様です。

その一方で、高卒以下でも起業して成功している経営者も少ないながらもいます。努力で運が開けることもあるので、あまり絶望しないでほしいですね。

最後に、海外の留学生が中国の大学に留学したときの学位について触れておきます。語学留学に関していえば、入試はなく誰でも入学できます。期間は短期・長期と様々ですが、当然ながら学位とは無関係です。学位を取得したければ、大学によっては入試があります。また、通常の学生といっしょに単位を取得したり、HSK(漢語水平考試)と呼ばれる語学試験で高レベルを取得する必要があります。

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