中国、「資本主義」の脆弱性と環境問題の別面

ほぼ連日、中国の環境問題のニュースが報道されるようになりました。

発がん性物質のPM2.5が基準値を大きく上回り、史上最悪レベルの大気汚染が進行しています。とはいえ、これらの報道は一面に過ぎず、本来はさまざまな側面があります。今回はそれらの別面について触れてみたいと思います。

まず、先進国はどこも大規模な開発、つまり環境破壊の末に「先進国」になれた事実があります。当然ながら環境問題にも直面してきました。

イギリスでは19世紀以降に産業革命が起こり、石炭燃料の利用が激増しました。そして、1952年に「ロンドンスモッグ」が発生し、一万人以上が死亡しました。日本でも同様に、高度経済成長期に「四日市ぜんそく」が発生し、1000人以上が死亡したと言われています。

つまり、中国はその他の先進国と同じ道を歩んでいるに過ぎないのですが、そうした姿勢で報道されることは滅多にありません。

本来であれば自分たちの失敗と対策を生かして、中国やその他の発展途上国にアドバイスしていくことが“地球規模の環境対策”といえるのですが、なかなかそれが進まない事情もあります。

その事情の最大の理由が、「中国が市場として魅力的」であることです。

14億人という巨大な人口が、購買能力を高めてきている現在、出せばモノが売れるとう状況になっています。日本・アメリカ・EUといった先進国は、すでに経済成長が落ち着き、むしろ不況にあえいでいます。

それが中国市場では面白いように売れます。環境対策をそっちのけで突き進んでいるのは中国だけでなく、実はモノを売っている外国にも要因があるのです。

14億の人口が一斉に自動車を所有したらどうなるか?

化石燃料は枯渇し、排出された二酸化炭素で一気に地球は痛めつけられる。子供でもわかることを自動車メーカーが知らないはずはありません。

「それを承知で販売する」…そうやって経済を回さなければ立ち行かない「資本主義」の脆弱性、それが中国の環境問題の別面といえます。

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