無錫、日本語では(むしゃく)と読みます。
若い方は知らないと思いますが、かつて尾形大作の『無錫旅情』(1986年)という演歌が大ヒットしました。この歌のため、無錫に親しみがある日本人は多いです。実際、無錫にはかなりの数の日本企業が進出しています。
無錫市は江蘇省にある都市。
江蘇省の省都は南京市ですが、南京と日本の間には戦争中に生じた傷跡が深すぎるため、今も進出している日本企業は少ないのが現状です。
その分、地方都市である無錫市を江蘇省および上海への拠点にしている企業が多いです。
無錫も蘇州・杭州と同様に大運河の沿線にある水運都市です。
無錫の場合、隋代(7世紀)の大運河もそのまま使われており、観光クルーズも出ています。大運河は太湖という巨大な湖に通じており、この太湖こそが無錫の生活を支えてきた水瓶であり、観光の目玉です。
太湖は景観がとても美しく、中でも「亀頭渚公園」は最も有名な観光地になっています。
この公園には、『無錫旅情』の中国語版の歌碑が建っています。実は、中国語カバー版が大ヒットしたため、中国でも有名な歌なのです。
杭州の西湖では漁業が行われていませんが、無錫の太湖では盛んに行われています。とくに銀魚と呼ばれるシラウオが名産品になっています。
その他の観光地としては、東林学院がオススメ。これは宋代(10~12世紀)の儒学者・楊時が設立した学院(私学校)で、明代に東林党と呼ばれる官僚を数多く輩出しました。80年代から改修が進められ、今では風情ある景観をよみがえらせています。
無錫は料理もおいしく、無錫小籠包、無錫排骨などがオススメです。無錫排骨は、豚の骨付きばら肉を甘辛く煮たもの。清朝の光緒帝(19世紀後半)の頃から作られ今に至る、伝統ある料理です。無錫には関西空港からアクセスできます。