中国に興味がない人でも楽しめる、それでいて読めば中国のことをもっと知りたくなる4コママンガがあります。それが『中国嫁日記』(著:井上純一)です。
著者の井上純一さんはイラストレーター兼マンガ家。若い頃の井上さんは生粋のオタクで、非モテで結婚とは無縁の生活でした。しかし、とある縁でお見合いした若い中国人女性の月(ユエ)さんと意気投合し、結婚します。
月さんは、夫のことを井上の中国語読みである「ジンサン」と呼びます。この月さんとジンサンの珍妙な異文化コミュニケーションがとても微笑ましく、このマンガの醍醐味になっています。
『中国嫁日記』は、元は井上さんのブログで始まりました。月さんは年齢も若く、中国人なので、やることなすことカルチャーギャップが発生します。その夫婦のやり取りがとても面白く、中国が好きとか嫌いとかを超越して、誰でも楽しめるようになっています。はじめはひっそりとやっていたこのブログに多くのファンが付き、大人気のブログになりました。そして、それが書籍化され、今では3巻まで出ています。
このマンガを読めば、知らず知らずのうちに中国の知識が増えていきます。というのも、月さんは東北部の遼寧省瀋陽市の出身。回想シーンのときには、かつての中国の様子が生き生きと描かれています。さらに、遼寧省に里帰りしたり、家族と四川省に旅行してパンダを見に行くエピソードもあります。このときは中国ののどかな風景が楽しめます。その一方で、事務所兼自宅がある広東省深セン市の話のときは、発展する近代都市の中国の様子が描かれます。
また、東日本大震災が起こってパニックになった街で、月さんを迎えに行くエピソードは泣けてきます。今の中国を知るのにこれほど最適なマンガはないと思います。