とくに年配の方に多いのですが、日本にはかなりの数のシルクロードファンがいます!!
その理由の一つが、1980年代にNHKが放映したドキュメント番組『シルクロード』です。西安から西に広がるシルクロード。インド、中東諸国、そしてローマに至るまで続いていた悠久の道です。まだ情報が乏しかった時代、現代のシルクロードに生きる人々の姿は、大きな反響を呼びました。
喜多郎が作曲したオカリナのテーマソングも、シルクロードの雄大さを表現した名曲として今も親しまれています。
もう一つが、井上靖原作で、佐藤浩市が主演した映画『敦煌』(1988年)の影響です。
砂漠に突如現れた異民族国家・西夏は、漢民族の北宋を脅かすまでになっていました。戦争する二つの国。その戦乱から敦煌にある貴重な書籍や経典を守ろうと、石窟寺院に運び出す主人公。彼のおかげで、経典は人知れず永い眠りにつき、現代まで破壊されることなく、守られました。その石窟寺院こそが、甘粛省敦煌市にある莫高窟(ばっこうくつ)。今では世界遺産に登録されています。
まさに浪漫あふれる西域の旅ですが、実際に観光した人は少ないと思われます。なにせ、現代においても“辺境”のイメージがあります。それと砂漠や厳しい気候に耐えられるか、心配もあるでしょう。
ただ、チベット観光に比べたら、シルクロード観光の方があらゆる面でラクです。空港もあるので、中国に到着したら国内線を乗り継げば簡単に行けます。
一般的な旅のルートは、西安と敦煌を巡る旅。同じ甘粛省ですから、無理なく史跡を巡れます。もう少し長旅ができる人は、新疆ウイグル自治区まで足を伸ばしてみましょう。ウルムチ・カシュガル・ホータン・トルファンといったオアシス都市を巡るのです。
井上靖の小説ファン、平山郁夫の絵画ファンなら、きっと終始興奮することでしょう。ラグメン、シシカバブ、ナンといったシルクロード料理も本当に美味しいです。