旅行や留学で日本にやって来た中国人は、街や建物が異常なほどキレイなことに驚きます。
中でもトイレのキレイさには衝撃を受けます。
中国人にとっては、たかが排泄のスペースがなぜあれだけキレイなんだと、不思議でしょうがないようです。
それだけ、中国の方は公共スペースが汚いわけですが、なぜなんでしょうか。
やはり、人口が多すぎることによって、個人主義が極端に強くなっているためだと思います。
そもそも日本人と中国人では、「公共」に関する概念が根本的に異なっています。
【1】国土の広さの違い
日本は狭い島国で、土地に限りがあります。
そんな狭い土地で隣人とうまくやっていくためには、快適な公共スペース作りがどうしても必要になってきます。
一方、中国の国土は日本の26倍。まさに“大陸”です。
こうした環境では、公共スペースが汚れていようが、それほど気にならないのでしょう。「どうせ、俺の場所じゃないし」と思っているかもしれません。
【2】個人主義の強さ
人口が多すぎるため、他人と協調することよりも蹴落とすことに一生懸命。
これでは公共スペースがキレイになるはずありません。
中国では、街の中でも平気でゴミをポイポイ捨てます。中には「自分からゴミ箱に入れたら、掃除員たちの仕事がなくなってしまうじゃないか」と言う人もいるほどです。
こうした行為は、日本人から見たら眉をひそめてしまいますね。
ただ、気を付けなければいけないのは、日本人が優秀で、中国人が劣っているという話ではないのです。
日本人自体が忘れ去っていますが、実は日本も70年代頃までは公共をキレイにしようという意識が希薄でした。
今の若い人には信じられないかもしれませんが、電車の中でも喫煙できましたし、ゴミも街にポイポイ捨てていました。
それが経済成長によって余裕ができたり、教育水準が上がったことで、少しずつ改善されていったのです。
今大きく成長している中国も、少しずつキレイな方向に向かっているといえます
なにせ面子や体面を気にする国。
海外から来た観光客たちから「中国は汚い」と思われ続けることには耐えられないでしょうから、強制的にもキレイにさせていくはずです。
もちろん根本的な性格は変わらないので、程度に差はありますが。
中国の変化を示すものはいくつかあります。
そのひとつがトイレ。日本にやってくる中国人観光客たちによって、温水洗浄便座(ウォッシュレット)が爆買いされ、トイレを清潔に使うと快適になるという意識が芽生えています。
もちろん限られた富裕層の話ですし、自宅のトイレの話なので、すぐに公共スペースに結びつくわけではありませんが、それまでトイレをキレイに使うという発想がなかったわけですから革命的な変化といえます。
また、少しずつゴミの分別も広がってきました
これまではすべていっしょくたに処理されていたのですが、駅、高速道路のサービスエリアなどの公共スペースにあるゴミ箱は、燃えるゴミ用と燃えないゴミ用に分かれて設置されています。これも大きな変化でしょう。
加えて、ほんの少しずつですが、「もったいない」意識も出てきています。
かつての中国では、食べきれないほどの食事を出して残してもらうのが、立派なおもてなしとされてきました。
その結果、大量の残飯が出るのですが、最近はそうした傾向を弱めるよう政府が指導しているとも言われています。